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最高裁判文- Decision of the Supreme Court -

園部元判事のこれまでの発言

○はじめに

「この事件の判決は、3つの項目に分かれている。第一は、憲法93条は在留外国人に選挙権を保障したものではないこと。第二は、在留外国人の永住者であって、その居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至った者に対して、選挙権を付与する措置を講ずることは憲法上禁止されていないが、それは国の立法政策にかかわる事柄、措置を講じないからといって違憲の問題は生じないこと。第三は、選挙権を日本国民たる住民に限るものとした地方自治法11条、18条、公職選挙法9条2項の規定は違憲ではないとの判断が示されたことである。

園部逸夫『私が最高裁判所で出合った事件(最終回)判例による法令の解釈と適用』
(自治体法務研究第9号 2007年夏号)

○1999年

「こうした思いは、「在日」の人たちが地方公共団体での選挙権を求めて争った訴訟にも反映された。私のいた最高裁第三小法廷は平成7(1995年)年2月、5人の全員一致の意見で、「地方公共団体の長や議員の選挙で、定住外国人に選挙権を与えることは憲法上禁止されていない」という判断をした。在日の人たちの中には、戦争中に強制連行され、帰りたくても祖国に帰れない人が大勢いる。「帰化すればいい」という人もいるが、無理やり日本に連れてこられた人たちには厳しい言葉である。国会でも在日の人たちに地方参政権を与えたらどうかという意見が出ているが、ようやくこの問題をゆっくり認識する時間が出てきたという気がしている。

 裁判所としては、すでに政府間の取決めで決まった補償の問題を覆すところまで積極的な政策決定はできないという限界がある。しかし、傍論で政府や立法による機敏な対応への期待を述べることはできる。」

『朝日新聞』 1999年6月24日付

○2001年

「巷間、第一が先例法理(stare decisis)で、第二が傍論(obiter dictum)と理解したり、逆に第二を重視する向きもあるようであるが、正確には第三が先例法理であって、第一と第二は本判決の先例法理を導くための理由付けにすぎない。判例は、これを利益に援用する者や批判する者の解釈によって、その理論と射程が不正確に紹介されることがあるので注意しなければならない。

なお、ついでながら、日本の裁判所の判決では、判決要旨とそれ以外の部分に分けて構成したり理解することはあるが、先例法理と傍論という分け方はしない。最高裁判所の判決では、私の経験では、傍論的意見は裁判官の個別意見か調査官解説に譲るのが原則である。」

園部逸夫『最高裁判所十年 私の見たこと考えたこと』(有斐閣、2001年)

○2007年

判例集は、第三の部分を判例とし、第一と第二は判例の先例法理を導くための理由付けに過ぎない。第一、第二とも裁判官全員一致の理由であるが、先例法理ではない。第一を先例法理としたり第二を傍論又は少数意見としたり、あるいは第二を重視したりするのは、主観的な批評に過ぎず、判例の評価という点では、法の世界から離れた俗論である。」

園部逸夫『私が最高裁判所で出合った事件(最終回)判例による法令の解釈と適用』
(自治体法務研究第9号 2007年夏号)

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