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岡崎  勝彦 さん
永住外国人への地方参政権

<プロフィール>
岡崎 勝彦さん
愛知学院大法科大学院教授、主な編著書に『現代行政法入門』(法律文化社)
『外国人の公務員就任権』(地方自治総合研究所)など。

――選挙権法案が継続審議になりました。

外国人か内国人かという国民国家レベルの問題ではなく、国際化を越えてグローバリゼーションといわれる時代に、地方参政権を人権一般のなかでどうとらえるかということだ。地域社会・政治共同体を構成している住民ならば、そこに参画するための選挙権・被選挙権を一体のものとして保障するのは当たり前だ。

それを選挙権はいいが被選挙権は駄目だとか、議員は被選挙もいいが、首長は両方駄目等々、そういう小出しの議論というのは、一体誰を有権者住民の対象にするものなのか。あるいは、治者と被治者の同一性を保障すべき住民自治の下で、自民の地域にあって戦後五〇数年にわたり、選挙権でさえ一度も行使していない隣人がいることに対して、一体人権保障をどう考えるべきなのかという問題が欠落している。なによりもこのテーマをいたずらに政争の具にしてはならない。

――条例で地方参政権が可能だとか…。

憲法第九四条は、「法律の範囲内」で、地方自治法第一四条もまた「法令に違反しない」限りにおいて地方議会に条例の制定権を与えている。そこで外国人への地方参政権付与条例の可否について、公職選挙法や地方自治法は「日本国民たる…」云々条項あるからそれが「範囲」を超えるか否かが問題となろう。しかし、七〇年代の公害規制のなかで、深刻な公害発生地域にあっては、国の公害防止規正法よりも条例で規制をより厳しくすることが可能になった。そういう実績がある。

例えば、大阪市生野区は住民の四分の一が「在日」で、市議の定数は、「在日」の数もカウントされる直近の国勢調査の結果で決まる。ところが、「在日」には選挙権がなく、日本人有権者には「在日」の数が上乗せ配分されるという現実がある。

集住地域の特色に基づいて、条例で参政権を認めることは、憲法論から言っても可能だ。これぞまさしく地方自治の基本である住民自治を最も忠実に反映する参政権保障だ。各自治体は、地方参政権の要求を国にばかり向けるのではなく、自分たちのまた条例をつくればいい。「在日」の集住地域で、そういう運動を展開してみればどうだろう。

――戦後処理との関連ではどうですか。

従来、日本の外国人問題の多くは、そのほとんどが旧植民地出身者である「在日」の法的地位・処遇をどうするかというものだ。

最近の国際化論議のなかで、北欧諸国やヨーロッパの外国人問題を例に出すが、それは比較法的視点では大事だが、日本の場合は、日本独自の特徴のある外国人問題として、「在日」に対する戦争責任、戦後責任の視点を抜きにしては語れない。

日本はドイツとよく比較されるが、比較の基準を誤ってはいけない。ドイツでは、ナチスの犯罪行為には時効を認めないという国家責任として、また企業責任も明確にしている。それに対して、日本は戦争責任、戦後補償について未済かつ未決着だ。その歴史的在留原因はもとより、戦後なによりも国家政策として国籍を剥奪してしまったということが他とは根本的に違う。